恋人に合わせすぎると好かれている実感が遠のくという話

「私って、この人と付き合う前は何が好きだったっけ」
ふとそう思ったことはないでしょうか。週末の行き先は相手の行きたい場所。食べるものも、観る映画も、車で流れる音楽も、気づけば相手の好み。自分から「これがいい」と言ったのがいつだったか、すぐには思い出せない。
不満があるわけではありません。相手は優しいし、一緒にいる時間は穏やかです。それなのに、どこかで自分の輪郭がぼやけていくような感じがする。この記事では、その感覚の正体について考えていきます。
合わせることで手に入れている安心
まず、合わせることにはちゃんと理由があります。
相手の好みに寄せていれば、ぶつかることがありません。相手が機嫌よく過ごしてくれるし、自分の好みを出して「え、それ?」という顔をされる心配もない。合わせるのは、関係を穏やかに保つための工夫でもあります。
だから、合わせてしまう自分を責める必要はありません。多くの場合、それは相手を大事にしたい気持ちから始まっています。
合わせるほど遠のいていくもの
ただ、合わせ続けていると、手放しているものが一つあります。相手があなたの好みを知る機会です。
相手が好きになっているのは、合わせているあなたの姿です。どれだけ大事にされても、心のどこかで「本当の自分を出しても、この人は好きでいてくれるだろうか」という問いが残ります。うまくいっているはずなのに不安が消えないのは、そのせいかもしれません。
合わせた分だけ関係は穏やかになりますが、そのぶん相手は本当のあなたを知る機会を失っています。
相手の側から見ても、同じことが起きています。あなたが何を好きで、何が苦手なのかを知らないまま、「この人は何でも合わせてくれる人」という印象だけが育っていきます。
どのくらい合わせているか確かめてみる
合わせている度合いは、自分では気づきにくいものです。次の問いに、すぐ答えられるか試してみてください。
- 最後に自分から行き先を提案したのはいつか
思い出せないくらい前なら、選ぶ役を相手に預けたままになっているかもしれません。 - 相手と会わない休日に何をしたいか
二人のときだけでなく、一人の時間にも好みが浮かばないなら、合わせる癖が自分の中まで入り込んでいるサインです。この問いは見落とされやすく、相手の前でだけ合わせているつもりの人ほど、答えに詰まることがあります。 - 違う意見を持ったとき言う前に引っ込めていないか
口に出す前に「まあいいか」と飲み込むことが続いているなら、それも合わせる形の一つです。
どれか一つでも当てはまったら、少しずつ戻していく余地があります。
小さな好みから伝え直す
いきなり大きなことで自分を出す必要はありません。まずは、断られても困らない小さな選択から始めるのがおすすめです。
- 「今日は私が行きたいお店を選んでもいい?」
- 「その映画もいいけど、こっちも気になってて」
飲み物や店、帰り道のルートくらいの小さな好みでも、何度か伝えるうちに、相手の中の「あなた」の像が少しずつ具体的になっていきます。
もし相手が毎回聞き流す、あるいは否定するようなら、それは合わせ方の問題とは別に、二人の間で自分の好みがどう扱われているかを知る手がかりになります。一度立ち止まって考えてみてもいいと思います。
好みを思い出すのには時間がかかる
長く合わせてきた人ほど、「自分の好き」はすぐには戻ってきません。一人の時間に、昔よく聴いていた音楽をかけてみる。前に好きだった店の前を通ってみる。そうやって少しずつ思い出していけば十分です。
思い出した好みを、全部相手に伝えなくても構いません。自分で分かっているだけでも、ぼやけていた輪郭は少し戻ってきます。
ヨルノキモチについて
自分の好きが分からなくなっていることを、どこかに書いておきたくなったら。
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書くことで、少し整理がつくこともあります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。気持ちの落ち込みが強く続く場合は、専門機関へのご相談をおすすめします。